脳神経外科で扱う病気と治療について

戻る ホーム

12.慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)

12-1.どんな疾患か?

頭蓋骨の内側で脳を包む膜(硬膜)と、脳の表面との間にゆっくりと血液(血腫)が溜まる状態を指します。

12no1.png

12-2.どのように起こるのか?

一般的に高齢者に起こります。お酒を多く飲む人、高血圧や血液が止まりにくくなる薬(抗凝固薬)を服用されているとリスクが高くなります。軽い頭部への打撲などが引き金になり、徐々に血液が溜まることで脳を圧迫し、その数週間から数カ月のち、頭痛がしたり、なんとなく元気がない、言葉が出にくい、尿失禁をするようになった、麻痺がある、歩行がおかしいといった症状で来院されます。ただし、頭部への打撲がなくても起こることがあり、「急に認知症が進んだ」といったエピソードがあればこの疾患の可能性があります。

12-3.検査、治療は?

頭部CT写真で、診断がされます(図1)。経過観察でよくなることもありますが、症状が出ていたり血腫が大きくなってくる場合は手術が望まれます。

手術は診断がつけば、当日又は翌日に行うのが理想的ですが、術前に血をサラサラにする薬などを飲んでいた場合は、その薬の効果が切れるまで手術を待機することもあります。

12no2.png

12-4.手術方法は?

手術は局所麻酔で行います。頭皮を約3cm 切開し、頭蓋骨に直径約1cm の穴を開けます。さらに脳を覆う硬膜を切り開くと溜まった血液が流れ出ます。その内部に細いチューブを入れて手術を終了します。

12no3.png

12no4.png

12no5.png

12no6.png

12-5.入院後の経過は?

チューブは通常、翌日の頭部CT写真をみて血液が流れ出ているのを確認してから抜きます(図6)。

12no7.png

一般に手術直後から麻痺や頭痛、認知症などの症状が回復してきます。通常食事は手術の翌日から始まり、トイレに歩いたりなど普通の生活ができます。チューブを抜いた後、約1週間後に頭部CT写真を再度撮影します。そこで再発がないことが確認できれば退院できますが、退院時期は合併症や手術前の生活状況によって変わってきます。

なお慢性硬膜下血腫は一度の手術で全部が取りきれず、再手術を要することや、いったん良くなってから再発する(全体の8~9%におこります)こともあります。その場合も再手術が必要です。

12-6秋田県立脳血管研究センターの治療成績(2006~2010)

手術159件

合併症:5件(感染症1件、脳出血2件、くも膜下出血1件、脳梗塞1件:うち後遺症0件)

再発:11件

死亡:0件

戻る