【地方独立行政法人 秋田県立病院機構】秋田県立脳血管研究センター

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脳神経外科診療部

7.髄膜腫(ずいまくしゅ)

7-1.概要

髄膜腫(ずいまくしゅ)は脳腫瘍のなかで最も多い脳腫瘍です。一般的に脳を覆うくも膜の細胞から発生し、90%以上は良性腫瘍です。多くは脳実質外に存在しますが、約30%は脳表面を覆う軟膜を破壊し、脳浮腫や脳内伸展を認めます。女性に多く、原因として遺伝や放射線、女性ホルモンなどの関与が示唆されているが、多くは原因不明です。

腫瘍の生じる部位によって、様々な名称がありますが、代表的なものは円蓋部髄膜腫、傍矢静洞髄膜腫、大脳鎌髄膜腫などです。

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   円蓋部髄膜腫            大脳鎌髄膜腫        傍矢状洞髄膜腫  

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    小脳橋角部髄膜腫          蝶形骨縁髄膜腫           側脳室髄膜腫          

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     嗅窩部髄膜腫

7-2.症状

髄膜腫の生じる部位によってもことなりますが、頭蓋内圧亢進症状(腫瘍により脳の圧が上昇して起こる症状:頭痛・嘔吐・意識障害など)、腫瘍圧迫による局所症状(脳神経麻痺、痙攣(てんかん発作)、運動麻痺など)があります。

7-3.検査

CTやMRIによって診断が可能です。脳研では以下の診断方法を用いて確実な診断と安全な治療を目指しています。

 頭部MRI:診断のためには造影剤が必要です。

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     T1強調画像           T2強調画像            造影  

脳血管撮影は腫瘍の栄養血管や発生部位を予測するのに重要な検査です。近年では3次元CT検査にとって変わられることが多くなってきました。しかし術中に多量の出血が予測される場合には、手術に先立ち、栄養血管を塞栓することがあり(塞栓前:黄矢印、塞栓後:青矢印)ます。

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     左傍矢状洞髄膜腫           脳血管撮影(側面・塞栓術前)  脳血管撮影(側面・塞栓術後)

3次元CT検査:造影剤を用いることによって、腫瘍と正常脳組織の間のコントラストを強くし、立体的な位置関係の把握ができます。腫瘍の伸展範囲や周囲の構造物との位置関係など、手術の際に必要な情報を多数得ることができます。

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   右小脳橋角部髄膜腫     3DCT(右側面像)  3DCT(左図の頭蓋骨をはずした像)

トラクトグラフィー:髄膜腫に限らず、腫瘍が運動神経と接すると予想される場合に行い、両者の位置関係を把握するのに役立てます。術前に運動神経の走行を予想することで、術中に運動神経の損傷を起こさないようにすることが可能となります。

脳腫瘍(黄矢印)、運動神経(赤矢印)

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7-4.手術の方法とその特徴

基本的に良性腫瘍である髄膜腫は、手術にて全摘することにより治癒が期待できます。しかし全ての症例で手術が必要なわけではなく、無症状なもの、小さいものは治療の必要が無い場合も多いのが実際です。
そのなかでも手術は以下の時に適応となります。
①既に日常生活の妨げとなる症状が出ているとき。
②これまでの検査で悪性型が疑われるとき。
③今後腫瘍が増大した際に重篤な症状が出現すると考えられるとき。
④脳腫瘍の性状が、今後の治療方針の決定に必要なとき。
 
手術方法には以下の2通りがあります。
 
①開頭腫瘍摘出術
開頭(皮膚を切開し、頭蓋骨を一時的に外す)して腫瘍を摘出します。腫瘍は発生母地を含んで全摘するのが理想的です。しかし脳腫瘍の組織や発生部位(損傷すれば身体的症状が出現する部位とそでない部位があります)によりて摘出できない場合があります。この場合術後に放射線療法などの追加治療が必要になる場合があります。一般的に全摘できなかった場合、約30%で再発すると言われています。
 
定位的脳腫瘍生検術
皮膚に小切開を加え、頭蓋骨に約1cmの穴をあけます。そこから管を挿入し腫瘍の一部を摘出します。病理診断の結果により今後の治療方針を検討します。

7-5.手術に伴う危険と合併症

  • 手術中に出血がおこる可能性があります。
  • 術後に脳出血などが起ることがあります。この場合再手術を要することがあります。
  • 感染(髄膜炎)や痙攣などが起る場合があります。
  • 手術をした部分の皮膚がうすくなったり、一部へこんだりすることがあります。
  • 皮膚を切開した箇所に沿って、脱毛が起こることがあります(多くは一時的です)。
  • 以上のような合併症により意識障害や言語障害、半身麻痺、痺れなどが、一過性あるいは永続性に残る事があります。

7-6.術後の見通し

手術後は一週間で抜糸を行います。追加の治療やリハビリテーションが必要な場合は、術後経過を診ながら専門科への転科や専門病院への転院なども考慮します。また遅発性痙攣の可能性があるため、多くの場合、最低でも数ヶ月の抗痙攣薬の内服が必要になります。

7-7.ガンマナイフ治療

放射線治療の一種であるガンマナイフは、頭を切らずに治療を行うことができます。直径3cm未満の腫瘍であれば、5~10年の腫瘍制御率は90%以上と良好です。しかし腫瘍縮小まで数ヶ月単位の時間を要するため、現在症状が出ている方には適応となりにくいのが現状です。また合併症として脳が腫れたりすることもあり、手術と比べて危険なこともあります。また腫瘍が3cmを越えると治療効果が弱くなります。

7-8.当センターでの治療成績

2005年1月~2011年1月までの手術件数:63例

術中死亡:0

術後麻痺:5例(一過性:4例、いずれもリハビリテーションにより改善、永続性:1)

顔面神経前額枝麻痺:2例(2例とも軽快)

動眼神経麻痺:1例

滑車神経麻痺:2例

術後出血:2例(1例は輸血、1例は経過観察)

術後中耳炎:1例(内服にて改善)

術後けいれん:1例(抗痙攣薬内服継続)

嚥下障害:1例(リハビリテーションを行うも後遺)

静脈損傷:1例(静脈再建術にて後遺症なし)

高次機能障害:1例(リハビリテーション継続)

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  • 当センターは、財団法人日本医療機能評価機構の認定医療機関です。【認定証区分】JC1946号 【審査体制区分】主機能:一般病院2 副機能:リハビリテーション病院 機能種別版評価項目3rdG:Ver.1.0 認定期間:2014年2月7日~2019年2月6日