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<脳研の最新研究から>(93)
2009.12.21. 「秋田魁新報」に掲載
毛細血管は赤血球1個(直径7マイクロメートル=1000分の7ミリメートル)がやっと通れるほどの極めて細い血管です。脳の血管、とくに毛細血管には血液脳関門という機能があり、血液中の水分やブドウ糖など脳に必要な物質を選択的に通過させ、各種薬剤や毒物などは通過できないようになっています。実際、毛細血管には血液中のブドウ糖を脳内に運び入れたり、脳内アミロイド蛋白を血液中に排出するといった働きをするさまざまな輸送体があることが知られています。このことは、毛細血管が脳の健康維持に大変重要な役割を果たしていることを示唆します。
例えば長年にわたり高血圧を放置すると、やがて脳の小動脈や細動脈の動脈硬化が進行して小さな脳梗塞が増えるほか、毛細血管と脳組織とのすきまにコラーゲンが蓄積し、これが物質輸送の妨げになると考えられます。このような状態が悪化すると、ビンスワンガー病(歩行障害、尿失禁、認知症)になる危険性が高まります。また、アミロイド蛋白が毛細血管で脳から血液中に排出できなくなれば、やがて脳に蓄積してアルツハイマー病になる危険性が高まると考えられます。
このように毛細血管の異常は各種神経疾患の病態に深くかかわっている可能性があります。それを目で見える形で証明するために、脳研センターでは診断や治療のために切除された患者脳組織や病理解剖で提供された剖検脳を光学顕微鏡や電子顕微鏡で詳細に調べています。
(脳神経病理学研究部・宮田元)